購買率とは?
購買率とは、ECサイトを訪れたユーザーのなかで、実際に商品を購入した人の割合のことで、CVR(コンバージョンレート)や買上率、転換率とも呼ばれます。
購買率は、商品が売れているかを把握するために使われ、業績や顧客サービスを客観的に評価するのに重要な指標の一つといえます。
たとえば、サイトの訪問者数が上がったにもかかわらず、購買率が下がっている場合は、顧客サービスに課題がある可能性が考えられます。
また、基本的に売上を上げるためには、購買率を改善しなければなりません。ユーザーのニーズに合った商品を提供できているか、価格設定は適正かなどを見直す必要があるでしょう。
購買率を上げるためにできる5つの方法
ECサイトの売上を上げるためには、購買率の改善が欠かせません。購買率を上げて、効率よくショップ運営を進めましょう。
1. サイト設計を見直す
ユーザーが必要な商品を簡単に見つけられて、商品をスムーズに購入できるような導線を整えることが重要です。
商品ページにスムーズにアクセスできないと、サイトからの離脱につながり、購買率が低下してしまいます。サイト設計を見直す際は、以下の点を確認しましょう。
- 商品のカテゴリー設定は適切か
- 購入ボタンの位置やデザインの視認性は十分か
- サイト全体の文字情報が多すぎないか
- スマートフォンからも見やすいデザインか
- ページの読み込み速度は適切か
また、商品ページも必要な情報が伝わりやすいデザインになっているか確認しましょう。。たとえば、文字が多すぎると、ユーザーが情報を把握しにくく、ページからの離脱要因になってしまいます。
簡潔に必要な情報を伝えられるように、すっきりとしたサイトデザインを意識しましょう。
2. 決済方法や送料を明確にする
決済方法や送料を明確に記載することで、ユーザーの商品購入に対する不安を払拭できます。商品ページだけでなく、ショッピングカート内やトップページなど複数箇所に記載して、ユーザーの見落としを減らしましょう。
特に、送料の有無は、購入の意思決定を左右する重要な要素の一つです。送料が明記されていないと、商品の購入コストが上がってしまうのではないかと不安に感じ、ページから離脱される可能性があります。
そのほかにも、希望する決済方法がないことで、購入を断念するユーザーも少なくありません。クレジットカードだけでなく、銀行振込やPayPalなど幅広い決済方法を用意しましょう。
購買率を上げるには、ユーザーが商品を購入しない理由を減らすことが重要です。
3. 商品ページの情報を充実させる
ECサイトは実店舗のように商品を手にとって観察できない分、ユーザーが使用感をイメージできるような商品情報を記載する必要があります。
商品の色やサイズ、機能などを記載するだけでなく、身長ごとの洋服の丈感を写真と文字で提示するような工夫もおすすめです。また、画像や文章だけでなく動画も掲載することで、ユーザーに実際の使用感が伝わりやすいでしょう。
ただし、商品情報は、簡潔にわかりやすい文章で記載することが重要です。長い文章で記載すると、視認性が悪くなってしまうため、ユーザーに必要な情報が伝わりにくくなってしまいます。
4. 購入フォームの項目を見直す
購入フォームの入力項目が多すぎると、ユーザーが手間に感じて途中で離脱してしまいます。最低限の記載で済むようにしましょう。
一般的に、以下の情報があれば問題なく商品を届けられます。
- 氏名
- メールアドレス
- 住所
- 決済情報
フィットネス関連の商品のように、身長や体重で製品のサイズが決まる場合は、商品選択の際にサイズを選べるようにするとよいでしょう。
また、入力項目ごとに、エラーメッセージを表示させるシステムを取り入れるのも効果的です。決済に進む際に、入力ミスをしている項目がすぐに伝わるため、ユーザーが迷うことなく修正を進められます。
そのほかに、ゲストユーザーが購入できるプロセスを整えるという方策もあります。会員登録を手間に感じるユーザーの機会損失を減らし、購買率の向上につなげられるでしょう。
5. サイトの信頼性を向上させる
ユーザーに商品の口コミやレビューを記載してもらうことで、ECサイトの信頼性が向上します。これは、当事者よりも第三者の口コミや評価に信頼性を感じるという「ウィンザー効果」を利用した方法です。
口コミを記載してくれたことに対する謝礼として、割引やクーポン、ポイントなどの特典を用意すれば、より多くのユーザーの評価を集められます。
また、サイトの信頼性向上には、カスタマーサポートの強化も欠かせません。
たとえば、チャットbotを導入して、よくある質問に答えさせれば、一定数のユーザーの疑問を解消できます。ユーザーの疑問や問題がすぐに解決できれば、満足度が向上するため、購買率の向上につながるでしょう。
購買率の計算方法
購買率は以下の計算式で求められます。
- 購買率(%)=購入者数÷訪問者数×100
たとえば、100人のユーザーがECサイトを訪れて10人が商品を購入した場合の購買率の出し方は以下のとおりです。
- 10人(購入者数)÷100人(訪問者数)×100=10%
企業やブランドによっては、購入件数から購買率を求めるケースもあります。
購買率を計算することで、売上だけでは気づけない課題や問題を分析できるのが特徴です。売上が伸びていたとしても、購買率が下がっている事態も起こり得るため、定期的に確認しましょう。
ECサイトの購買率の目安
ECサイトの購買率の目安は、1〜3%程度です。ただし、ジャンルや季節によっても購買率は変化します。
IRP Commerseの調査によると、2022年4月〜2023年4月のジャンルごとの購買率は以下のとおりです。
- ファッション・アクセサリー:1.4〜2.2%
- 食品:1.1〜2.3%
- 家電製品:2.3〜3.0%
- ベビー用品:0.7〜1.4%
- ペット用品:1.3〜2.2%
購買率が最も高いのは家電製品です。しかし、ファッション・アクセサリーやペット用品も冬にかけて購買率が上昇する傾向にあります。
また、食品も11月や12月は購買率が上がるのが特徴です。
一方で、ベビー用品は、最も購買率が低い結果となっています。
小売店の購買率の平均
小売店の平均的な購買率は10〜60%程度です。一般的に、高級店の購買率は低く、スーパーマーケット等の比較的安価な価格帯の小売店は高い数値が出る傾向にあります。
購買率によって、店舗の販売活動の成果が数値化されるため、スタッフの配置や店内のレイアウト、商品の良し悪しなどが明確に分析できるでしょう。
購買率が1%上昇するだけで数億円単位の利益につながる場合もあります。そのため、購買率を元に、顧客サービスや商品の仕入れなどを見直すのが重要です。
購買率が低い時に考えられる原因
購買率が上がらない場合は、原因を把握することが重要です。ユーザーの目線に立って、購買率の低さの原因を究明しましょう。
1. サイトが使いにくい
サイトが使いにくいとページの離脱につながってしまうため、購買率が下がってしまいます。おしゃれなデザインよりも、ユーザーの使いやすさや購入までの導線を重視することで、購買率の上昇につなげられるでしょう。
2. 商品がニーズに合っていない
サイトを訪れるユーザーのニーズに合う商品を扱っていなければ、訪問者数が増えても購買率は上がりません。流行や季節によって変化するトレンドも意識して、商品の仕入れをしましょう。
また、ニーズに合っているだけでなく、サイズや色、性能などを比較できるように複数の商品を用意するのも重要です。
ほかの商品と比較して、より良い商品を購入したい人は少なくありません。比較できる商品がないとサイトから離脱されてしまう原因にもなるので、バリエーションも増やしましょう。
3. 競合よりも価格が高い
競合するサイトよりも価格や送料が高いと購買率が低下してしまいます。
特に、送料が高い場合、商品が安くてもトータルコストで高額だと判断されてしまうことがあります。競合サイトが送料無料を提示していれば、そちらで購入されてしまう可能性もあるでしょう。
競合と比較して、価格設定や送料を見直せないか確認しましょう。
ただし、商品の価格が高い場合でも、商品情報や口コミから質のよさが伝われば、購入につながることがあります。利益率を下げないように、十分に検討しましょう。
4. ユーザーからの信頼を得られていない
サイトのセキュリティが不十分だと、ユーザーが決済情報や個人情報の入力に不安を感じるため、購買率が上がりません。セキュリティ対策を十分に実施するだけでなく、安全性や個人情報の扱いについて明記するのも重要です。
また、商品の口コミやレビューがないサイトは信頼を得にくい傾向にあります。トラブルの有無や商品の品質について、口コミから確認するユーザーは多いため、特典を用意して積極的に第三者の評価を集めましょう。
まとめ
ユーザーの購買率を上げるには、スムーズに商品を購入できるようなサイト設計が重要です。
商品検索がしにくかったり、ページの読み込み速度が遅かったりすると、サイトからの離脱につながります。また、購入フォームの項目は、ユーザーの負担を軽減するため、最低限の内容にとどめましょう。
商品の口コミやレビューを掲載しているサイトは、信頼を得やすいので、クーポンや割引などの特典を用意してユーザーに協力してもらうのもおすすめです。
ECサイトの購買率に悩んでいる人は、自分のサイトがユーザーにとって使いやすいサイトになっているか、この記事を参考に見直してみてください。
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よくある質問
購買率と購入率の違いは?
購買率と購入率に違いはありません。どちらもECサイトや小売店を訪れた顧客が商品を購入した割合を示します。
購買率は英語で何という?
購買率は英語に直訳すると「purchase rate」といいます。しかし、一般的には「conversion rate(獲得率)」と表現する場合がほとんどです。
文:Kana Fukuzumi