1958年に創業した日清食品は、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明し、新たな市場を切り拓くとともに食文化に革命をもたらしました。その後も「カップヌードル」をはじめ、強いブランド力を背景に、ユニークな商品を次々と市場に送り出しています。
常に新しい価値を創造し続けてきた日清食品は近年、オンラインストアを活用したD2Cビジネスも強化。同社が運営する「日清食品グループ オンラインストア」は、販売チャネルとしてだけではなく、消費者と直接つながり、新たなビジネスモデルを推進する場として活用されています。
そのひとつが、ビューティー&ヘルス関連商品や、店頭では手に入らない限定商品です。2019年には美容ドリンク「ヒアルモイスト」シリーズ、2020年にはサプリメント「トリプルバリア」シリーズの販売を開始。現在は、EC売上の半分以上を即席麺以外のカテゴリーが占めるまでに成長しました。
このような取り組みを背景に、日清食品はオンラインストアの売上を着実に伸ばしています。2022年9月にShopifyのPlusプランを導入してからは、直営通販事業の売上高100億円を視野に、その成長をさらに加速させています。
【ShopifyのPlusプラン導入による成果】
- GMV(流通取引総額): 166%
- セッション数: 151%
- リピーター数:154%
2022年8月15日-2023年5月15日 (9ヶ月) vs 2023年5月16日 - 2024年2月18日(9ヶ月)
一般的に、卸売のビジネスで大きく発展してきた企業にとって、D2Cビジネスは流通や小売業との利害対立や摩擦が生じやすく、参入のハードルが高いとされています。しかし、日清食品では、ECとリテールが相乗効果を生むスタイルを築いてきました。
今回はD2Cビジネスヘの取り組みと、その土台としてのShopifyのPlusプラン導入の経緯と成果について、「日清食品グループ オンラインストア」のオペレーションからプランニングまで全般の業務を担当する、ビヨンドフード事業部 ダイレクトマーケティング部 EC プランニング課 課長の青木祐二氏に話を伺いました。
日清食品がShopifyのPlusプランを選んだ理由
日清食品が通販事業を開始したのは2000年からですが、2016年9月から「即席麺を1食から購入できる」「即日出荷」など、より利便性の高いサービスの提供を開始しました。
その後、注文数も会員数も順調に増加しましたが、それとともにいくつかの課題も見えてきました。
青木氏は「当時の通販サイトは、商品ページから決済システム、出荷連携までをすべてフルスクラッチ(自社開発)で構築していました。新しいサービスや買い方を導入したくても、その都度膨大な費用と時間を要するため、すぐに対応ができない、さらにはアイデアの実現を断念することが多くなっていきました」と振り返ります。
さらに、データ量が増えるにつれて、同時に処理できる注文数にも限界が見えていました。キャンペーンが大当たりし、多くのお客様からのアクセスが集中した時に、注文画面に全く進めないような事象が発生。その度に頭を悩ませ、ECシステムのリプレイスを考えることになりました。様々なサービスを比較検討した中で、最終的には次の3つの理由からShopifyのPlusプランを選びました。
- 注文処理能力の高さ:膨大な注文を同時に処理でき、大量の注文が集中してもビクともしないキャパシティが魅力的だったこと。
- 機能拡張のしやすさ:追加したい機能は、世界中で開発された豊富なアプリから選んで実装でき、低コストでスピーディな実装が可能だったこと。
- セキュリティ面への信頼性:世界を視野に入れたセキュリティへの対応・体制が敷かれており、世界中で多くの大企業が導入していることに信頼が持てたこと。
青木氏は「今後も注文の集中は起こるでしょうし、実装したい機能やサービスも増え続けるはずです。それらを実現可能にし、さらにセキュリティ面でも信頼できるとあれば、ShopifyのPlusプランは魅力的でした」と話しています。
4ヶ月でサイトリニューアル、充実したサポートで様々な課題もクリア
実際にShopifyのPlusプランの導入を決めた後、期待していた以上に「サポート体制が充実していることに驚かされました」と述べます。
特に印象的だったのは、導入決定からわずか4ヵ月でリニューアルを完了できたこと。「予定されていたキャンペーンがあり、実施のタイミングまでにどうしてもリプレイスを完了させる必要がありました。それを実現できたのは、パートナー会社の協力とShopifyの柔軟性、さらにサポート体制のお陰でした」と振り返ります。
また、別々のECサイトで運用していたサービスや定期注文をShopifyに統合するという大規模なタスクも経験しました。顧客データを含めた大規模なデータ移行が求められましたが、ShopifyのPlusプランが提供する「プロフェッショナルサービス」を利用したことで、複雑な移行作業を短期間で完了できました。
「当社の場合、Shopifyへのリプレイスから2年が経った今でも、スピード感をもって機能拡張を実現しなければならないケースが多々あります。そんなときでもサポートチームが『このアプリを使うといいです』『これはアプリでは対応できないので、フロントエンドを少し改修しましょう』と具体的な提案をしてくれます。このようなやり取りを通じて、以前に比べて圧倒的に早く要件を実現できるようになり、コストも削減できています」(青木氏)。
Shopifyは売上高100億円への道を支える存在に
ShopifyのPlusプランの導入は、日清食品のオンラインストアにおけるスピードと柔軟性を大幅に向上させ、日々の運営に大きな効果をもたらしています。
青木氏は「Shopifyの大きなメリットの一つは、さまざまなアプリを自由に追加できる点です。当社のように、多くのことに挑戦したいという要望にも、ShopifyのPlusプランは非常に柔軟に対応し、その都度、適切なソリューションを提案してくれるので非常に助かっています」と語ります。
こうした効果は売上やビジネスの成長にも反映されており、日清食品の直営通販事業の売上高は毎年2桁パーセント以上の成長を続けています。
今後の展望について、次のように語ります。「現在、売上高100億円が視野に入ってきましたが、私たちはさらに高い目標を追求しています。そのためには、新たな商品ラインアップの投入や販売戦略の革新が必要になります。その時々に応じて本当にやりたいことに自由に挑戦できる環境を構築したいです」(青木氏)。